スポーツバイクに乗り始めて15年間。
これまでは専ら、ロードバイクでヒルクライム(坂を登ること)やロングライド(長距離を走ること)を楽しんでいました。

北杜市に来てからは、SNI自転車部のメンバーと集まって、ヒルクライムのイベントを開催するようになりました。
登ったら、当たり前ですが、下りがあります。
「もっと楽しい下り方はないか?」と考えた結果、オフロードを下ってみようということになりました。つまり、ダウンヒルです。

走ったのがここ。
八ヶ岳南麓の森の中には所々「防火帯」(延焼被害を食い止めるために樹木がない所)と呼ばれる場所があります。
眺めは抜群です。

当時、私はマウンテンバイク(以下、「MTB」と略す。)を持っておりませんでしたので、近くのレンタサイクルで借りて、参加することにしました。
そのイベントがとても楽しく、「自分が求めていたのはこれだ!」と思い、MTBの購入を決心したのでした。

昨年の9月に、念願のMTBを購入しました。
それがこのバイク。Scott SCALE720。

以降、約半年間、MTBに乗るようになって、私が感じたメリットは、以下の3つです。

  • どんな悪路も走ることができる
  • 「今」に集中することができる
  • 自然を正しく知ることができる

もちろん、もっと技術を磨いて上達すれば、私の知らない楽しみ方が、きっとあると思います。あくまで私の個人的な感想です。
今回は、MTB初心者であり、かつ、生長の家の信仰者として、私が感じたことをこの3つの視点から紹介させていただきます。

1.どんな悪路も走ることができる

MTBは、未舗装の道を走るように設計されているので、当然のことです。

ロードバイクでいつも走っていた道も、無数の脇道がありました。
「行ってみたい」と思う反面、「もし、その先が砂利道だったら…」と思うと、躊躇してしまいます。そして、結果的にいつも同じ道を走るようになっていました。

でも、MTBなら砂利道でもOK。
ガタガタのオフロードでもOK。
自動車が通れないような細い道でもOK。
万一、行き止まりならば、引き返して戻って来れば良い。
つまり、何でも来いです。

期待と不安に抱えながら、知らない道へ一歩踏み出す。
すると、時には、森の中の魅力的な林道を発見したり、思いがけないところに繋がっていることが分かったりと驚きの連続です。

マンネリ化していた日常のライドが、極端な言い方をすれば、ちょっとした「冒険」になる、と言ってもよいかも知れません。
「安全領域」から一歩踏み出すことで、「自由」を得られたように感じました。

2.「今」に集中することができる

そうして見つけた道は、林道だったり、ハイキングコースだったりします。
当然、アスファルトの道とは全く違い、1メートルたりとて同じ道はありません。
窪みがあったり、ぬかるんでいたり、大きな石が現れたりと、路面の状況は刻々と変化します。
それに瞬時に、かつ的確に反応しなければなりません。

走っているうちに意識の変化を感じました。
それは、「今」に集中するということです。

生長の家の教えでも「今を生きる」ことを大切にしています。
この反対に、「取り越し苦労」(見えざる“未来”を恐れること)することで、精神が消耗されます。

精神を「今」目前にある、一時物に集中するほど、心は“未来”の憂鬱や恐怖から離れることができます。
スポーツをした後に、些細な心配事も吹き飛んで、なんともさわやかな気持ちになったという経験がある人も居られると思います。

このことは、スポーツ全般に言えることですが、「今」に集中するという意味では、MTBの特徴のひとつではないかと思います。

3.自然を正しく知ることができる

八ヶ岳南麓は林道が多く、探してみるとMTBで走れるところが結構あります。
私もお気に入りの道をいくつか見つけることができ、週末毎に通った時期もありました。

そんなある日、驚くような光景に出会いました。
「ん?なんだこれは?」道の真ん中に亀裂?

近づいて見ると…、こんなことになっていました。

昨年の夏は自然災害が多くありました。
西日本豪雨、北海道胆振東部地震、台風21号・・・

私が住む八ヶ岳南麓で影響が大きかったのは、台風24号です。
山梨県では局地的に雨雲が発達し、県南部では「記録的短時間大雨情報」が発表されました。
八ヶ岳南麓は、そこまではありませんでしたが、気象庁の観測データ(北杜市大泉町)を調べてみたら、台風24号が通過した9月30日の降水量は115ミリ。最大瞬間風速は24.7mでした。

(気象庁のHPより、北杜市大泉町、2018年9月の観測データ)

この大量の雨により、道は川のようになったのでしょう。
水が流れたあとは深くえぐられて、土は流されて、石がゴロゴロと転がっています。

この程度であれば、自転車から降りて歩いて越えることができます。
さらに行くと、倒木がありました。強風で倒れたのでしょう。
何箇所もありましたが、これもバイクを持ち上げれば、越えられないことはありません。

さらに行くと・・・小規模な土砂崩れ。
ああ・・・。

うーん、これは無理。
引き返して、別のルートで攻めてみると・・・こちらは、道路の半分が崩落しています。

しばらく呆然と立ちすくんで、考えて込んでしまいました。
ほんの1週間前は平穏な森で、そこで走る私を癒やしてくれました。
包み込むように優しい表情だった森が、一晩の嵐で深く傷ついた姿を見て、悲しい気持ちになりました。

自然に近づき、自然を知ることで、自然界の変化を肌で感じることができます。
深く観察している人であれば、季節毎や年毎の「小さな変化」に、敏感に気がつくことでしょう。

しかし、その姿は、人間にとって都合の良いものばかりではありません。
自然は優しいだけではなく、人間の力が到底及ばない巨大な力を持つ、峻厳な存在でもあります。
そして時に、脆く儚い。

とても複雑な心境でした。
この時の私には、自然に対して、一見、相反する2つの感情がありました。
それは、「畏れる(近づきがたいものとしてかしこまり敬う)心」
と「慈悲(楽しみを与え、苦しみを取り除きたいと思う)の心」です。

環境を守る活動はもちろん大切ですが、その前提として、この自然に対して畏れる心、慈悲の心を育むことが大切ではないでしょうか。

そのためには、自然に近づき、本当の情報を得ることが、不可欠です。
MTBで自然の中を走ることは、その一助になると私は感じました。

いかがだったでしょうか?
今回は、私が感じたマウンテンバイクの魅力について、書かせていただきました。
機会があれば、皆さんもどうぞMTBに挑戦してみて下さい。

Raccoon Dog