自転車を通して、新しいことにチャレンジする自分に
「紹介します!~私のライフスタイルと自転車~」のシリーズ4回目は、新潟県柏崎市にお住いの店橋幸枝(たなはし さちえ)さんです。新潟といえば日本有数の豪雪地帯の1つ。さらに市内でも比較的坂の多い地域に住んでいるとのことですが、どのようにして、生活に自転車を取り入れているのでしょうか?
自転車に乗り始めたきっかけ
店橋さんは、今でこそ往復40Kmのポタリングに気軽に出かけるようになりましたが、実はもともと運動が大の苦手でした。また自宅周辺は坂道が多いことから日常的な移動手段は自家用車。自転車で出かけることはほとんどありませんでした。
しかし生長の家の信仰をする家族や地元の幹部が、低炭素のライフスタイルの一環で自転車に乗り始めました。その姿に影響を受け、店橋さんも「いつか自分も乗ってみたい」との想いを抱くようになっていきました。
そんな折、2020年に新型コロナウイルス感染症が世界的に蔓延し、日本では「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」として国から一律給付金が支給されました。店橋さんは「今がチャンス」と、この給付金を元手に自転車を購入することを決意。自宅周辺に坂道が多いことを考慮して、電動アシスト付の小径車を選びました。
そして2020年7月、無事に自転車が納車され、早速近くの海を目指して出かけてみました。シティサイクルでは登れず、いつも押して歩いていた自宅周辺の坂道を、電動アシストのおかげで自転車から降りずにそのまま登れることに驚きました。
「自転車って楽しい!これならどこまででも行けそう!」
店橋さんが自転車の魅力に目覚めた瞬間でした。
自転車でもっと遠くへ行ってみたい
「運動が苦手だった自分が坂道を登れた!」と自信をつけた店橋さんは、以来、月に1、2回ほど、自宅周辺のダム湖や海、山など、その時の気分に任せて行き先を決めて自転車で出かけるようになりました。時には、車では通らないような脇道に入って道に迷うこともあったようですが、道中の美しい景色やきれいな花々を眺めたりして、サイクリングを楽しんでいたそうです。
このように、散歩をするような感覚で自宅付近の道を走って楽しむようになった店橋さんでしたが、ロードバイクに乗っている義兄さんの影響もあり、次第に「自転車でもっと遠くまで行ってみたい」との思いを抱くようになりました。そしてそれが可能な新しい自転車の購入を考え始めます。すると程なくして、お姉さんから自転車を始めたいとの話があったので、店橋さんは、自分の電動アシスト付きの小径車をお姉さんに譲り、チェレステカラー※のクロスバイクを新たに購入しました。自転車ライフを始めて2年目のことでした。
※イタリア語で天空、碧空という意味の、緑に近い青、あるいは緑と青の中間色
2台目のクロスバイクは、電動アシスト機能はありませんでしたが、その代わりにスピードやペダルの重さを細かく調節できるギアがついていました。そのおかげで、平坦の道はこれまでよりもずっと速く走れるようになり、登り坂もペダルが軽くなるようにギアを調節することで無理なく登れるようになりました。
新しいバイクを手に入れた店橋さんは、今までよりも遠くの海や山まで行けるようになりました。また、教区の仲間と、高低差500M以上の坂道を登るヒルクライムに挑戦したり、新潟県の海岸沿いにある「久比岐自転車道」を走ったりと、自転車での活動範囲が更に広がっていきました。
雪が積もって自転車に乗れない時期には
ところで、新潟と言えば豪雪地帯としても有名です。雪が積もっていると屋外を自転車で走ることはできません。店橋さんは、せっかく自転車で鍛えた体力や筋力が、冬季に長期間乗らないことで衰えてしまうのはもったいないと考え、あるアイテムを導入します。
それが「三本ローラー」です。一般的には、本格的なロードバイクで時にレースに出場するようなサイクリストが、室内練習用に用いることが多いようですが、店橋さんは、雪で自転車に乗れない冬の時期に、週に1、2回程度、このローラー台の上に自転車を載せて、ペダルをこいで体力や筋力の維持に努めていたそうです。なお、タイヤが固定されていないため、台の上で自転車のバランスをとるのが難しいのですが、店橋さんは、ローラー台を壁のすぐそばに平行に置き、反対側には踏み台を用意して転倒を防いでいる、とのことでした。
そして屋外を自転車で走ることがはばかられるのは冬だけはありません。雨が続く梅雨の時期や、熱中症のリスクのある夏場も、このローラーを活用して自転車をこいでいるとのことです。
自転車に乗り始めてからこれまでを振り返って
電動アシスト付きの小径車を手に入れた日から、ちょうど3年が経過した店橋さんに、改めて、乗り始めてからの変化や自転車の魅力を伺ってみました。
「自転車を通して、新しいことにチャレンジする楽しさを知りました。今は、片道22kmの職場までの自転車通勤に向けて、少しずつ準備を重ねているところです。そしていつか100kmのロングライドにも挑戦してみたいです。自転車とはほぼ無縁の生活をしていた時からは、想像できなかった変化です。」
「坂を登ったり、山や海を眺めながら走っていると、頭の中でごちゃごちゃ考えていたことが整理されたり、心のモヤモヤがすっきりしていくから不思議です。総じて、自分の日々の暮らしに、大きな楽しみが増えたように思います。しかもそれは自分の肉体を使って自然との一体感を味わう、とても充足感のあるものです。これからは地元で一緒に走れる自転車仲間を増やしていきたいです。」
終わりに
店橋さんのお話を伺い、傾斜地や山間にお住まいの方、運動が苦手な方でも、電動アシスト付き自転車を利用することで、無理なく自転車を楽しめる可能性が広がるのだと改めて思いました。実際、森の中のオフィスの自転車通勤をする職員の中にも、電動アシスト付きの自転車に乗っている方が増えてきています。(もちろん、お住いの居住地の環境や年齢などによっては電動アシストが付いていても難しい場合もあるかもしれません)
そして自転車を通して、新しいことにチャレンジしていく楽しさに目覚めていった店橋さんの変化には素直に感動を覚えました。もしかすると新しい境地を拓いたと言えるのかもしれません。私も自転車を通して、新しい自分を見つけてみたい。そんな想いを抱きました。
(金内崇幸)