SNI自転車部の「目的」と「活動内容」に、自然災害への復興支援を行うことが追加されました。活動について定める「規程」に以下のように新たに定められました。

目的(追加事項のみ)
「また、PBS メンバーは、日常活動の中で自然の力の繊細さと大きさを知り、自然が提供する諸々のサービスを活用するノウハウを得ることに努め、自然災害発生時にはそのノウハウを活用して被災地での復興支援等を積極的に行う。」

メンバーの活動
(3)自然災害への備えの啓発、並びに災害発生時の復興支援活動

※PBSとは「プロジェクト型組織」の英語表記の略で、私たちSNI自転車部の他、SNIオーガニック菜園部、SNIクラフト倶楽部のことです。

今回のブログでは、その背景や理由を少し詳しく説明します。

【身近になった自然災害】

ここ数年、明らかに自然災害が増えています。
9月6日には、震度7を観測する「平成30年北海道胆振東部地震」が発生し、死者41名、重軽傷者691名を出す事態となりました(10月5日現在 内閣府)。地震と温暖化の関係はわかっていませんが、気候変動に起因すると思われる自然災害が多発しています。地震の2日前には台風21号が近畿地方に大きな被害をもたらし、7月には「西日本豪雨」(平成30年7月豪雨)が発生しています。

先の台風24号では、私達がよく通る天女山へ至る道も土砂崩れが発生し、一時通行できなくなっていました。

【世界でも自然災害は増加している。そしてそれが紛争に繋がっている】

世界でも自然災害は増加傾向にあります。国際連合大学が行った調査のうち、自然災害と経済損失の関係をまとめたグラフでは、過去30年間で世界の自然災害の発生件数が「2倍に増大している」という報告があり、中でも洪水が増加しています(下記図1「World Risk Report 2016」参照)。

図1 World Risk Report 2016;United Nations University

また、自然災害は紛争の原因となります。科学誌「米国科学アカデミー紀要」に掲載された研究結果(Schleussneretal.2016)では、ポツダム気候影響研究所を中心とする研究チームが、1980年から2010年までに世界各地で起こった紛争のデータ、干ばつや洪水などの気候に関連する自然災害、それぞれの自然災害によって地域が受けた経済損失、そして被災地域の民族データを加えて統計モデルによって関連性を分析しました。

その結果は、その国や地域が内包している民族間の緊張度や、貧困レベル、文化の違いなどの下地となっている様々な要因に加えて、自然災害が発生した直後(1ヶ月以内)に始まった武力紛争では、自然災害による水不足や食糧不足などが引き金となりうることを示しています。つまり、気候変動、自然災害の増加によって、それを引き金とした紛争は増加します。

【SNI自転車部の活動】

宗教は、時代の要請に応じて各問題を解決するための“処方箋”のようなものを人類に対して提示することも求められます。生長の家が時代によって運動の内容を変えてきたのは、そういう理由からで、SNI自転車部が誕生したのも同じです。

これまで見てきた状況から求められることは、
①いつ自分の身に起こるか分からない自然災害に対して備えること、(それは自然を正しく知り、畏れることでもあります。)
②仲間や同地域の人たちが被害に遭ったら、すぐに復興支援に行くこと
であるといえます。そういう理由から、SNI自転車部も自然災害への備えや復興支援に取り組むことになりました。

SNI自転車部は平和を目指すチームですから、先に見たような、気候変動や自然災害の増加と紛争との関係などについてもさらに調査していくことを考えています。

このトピックに関しては、具体的にメンバーにどのような行動が推奨されるのか、あるいはその意義、今夏行った活動の紹介などを詳細にお伝えしていく予定です。

【参考文献】
Carl-Friedrich Schleussner, Jonathan F. Donges, Reik V. Donner, and Hans Joachim Schellnhuber;
Armed-conflict risks enhanced by climate-related disasters in ethnically fractionalized countries;
PNAS published ahead of print July 25, 2016 https://doi.org/10.1073/pnas.1601611113