自転車に乗り始めて3年、体重が落ちて、体力がついて、以前よりも健康と思える身体で日々を送ることができて、有り難いことと思いつつ、何となく自転車生活がマンネリ化していた昨年12月、上司が1冊の本を貸してくれました。

近藤史恵著「サクリファイス」

「ロードレースのことがわかりますよ」とのこと。


全然興味ないですけど・・・

自然の中をのんびり走るのが好きなので、ロードレースなんて正直全然興味ないですけど・・・と内心思ったのは内緒です。せっかく貸してくれるというので、お借りすることにしました。


見事にはまる

私はロードレースがチーム競技だという事をこの本で初めて知りました。

7・8人のチームの中に、エースとアシストという役割があって、アシストはエースの勝利の為に風避けになったりペースメーカーになり、敵チームには体力を使わせたりして作戦を乱し、自チームのエースが一番力を発揮できる場面までエースの体力を温存させる為に献身的に守る。体力限界まで守った為に自分個人の成績は悪くなっても、エースの勝利は自分の勝利として誇れる世界。


主人公はそのアシストの役割に魅入られてロードレースの世界に入った男性。チームの勝利の為に頑張る人、他を出し抜いて個人的に活躍したい人、世界に通用する日本人レーサーになる夢を叶えたい人・・・沢山の人の思惑のなか、アシストの自己犠牲的なその精神が「サクリファイス=生贄」なのかと思ったら・・・(号泣)

という内容です。(ご興味がおありの方は読んでみてください☆)


さらにはまる

その後小説シリーズ4冊を速攻で読了。そして勧められるまま、超有名なロードレース、ツールドフランスのダイジェスト動画を見て、ダイジェストでは物足りず色々な動画を漁り、レース中の駆け引きや選手同士の人間関係などを知っていくうちに、小説よりも本物が好きになり、ついには今年1月のロードレース「ツアーオブダウンアンダー」開催頃には、上司と「リッチー・ポート、ウィランガヒル6連覇しましたね!!」という会話をするまでになりました。2ヶ月前の私には理解不能な言葉の羅列です。



名アシストになりたい

ロードレースにはまったからといって、私の自転車生活は相変わらずえっちらおっちら坂を上り、気が向くままにカフェに寄り、綺麗な自然の中をのんびり走るのに変わりはないのです。(しかも今は寒いので殆ど乗っていません)

ただ、仕事もこんな感じでありたい、と考えるようになりました。


ロードレースの世界の「名アシスト」と呼ばれる人たちは、たくさんの指示が無くても自分の役割を認識して、そのときその場で、最適な仕事をこなすのです。監督が何をどう考えて指示を出したかを考えることができて、それに対して自分の力量で出来る事を見誤らない人が、そう呼ばれるのだろうと思います。


勤続★★年の私が今更思う事ではありませんが、上司に一々指示をされて、求められているクオリティに達せないような仕事はしたくない。業務全体を把握して、上司や同僚をフォローするくらいの部下でありたいものだと、改めて思うようになりました。


興味はなくても知ってみるって大事

全然興味が無かったロードレースでこんなに楽しんで、そして学んだ今回の体験から思うに、私は今までたくさんの重要な事、楽しい事を逃してきた気がします。もったいない。今後、『興味が無い』のジャッジは、2回目からにしようと思います。

過去の私にも教えたいなぁ・・・。

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