このゴールデンウィーク、例に漏れず外出を自粛していた僕。自宅で庭仕事をしていたら突如、空一面にミツバチの大群が・・・

これ、ゴールデンウィーク前後に起こる、我が家の恒例イベントなのです。

実は、僕の家には3年前からニホンミツバチがいます。地元の方に一群を譲ってもらい、家の裏に巣箱を設置しました。彼らは環境が気に入らないと、ある日突然居なくなってしまうので、飼うのが難しいと言われていますが、幸いにして居着いてくれています。

この時期になると、その巣箱から新しい女王蜂が誕生し、今までの女王蜂が群れの何割かを引き連れて、新しい巣へ飛び立っていくのです。元の群れが大きければ数日置きに起こります。
これは“分蜂”と言って、ミツバチの世代交代イベントです。

この“分蜂”が始まると、数千匹というハチが、巣箱から一斉に出てきて、しばらく空一面を覆い、近くの木の枝下などに球体になって集まり、行き先を決めた後、飛び去っていきます。普段見かけない光景なので、知らない人がみると恐ろしく感じるかもしれませんが、身近に接して経験してみるとハチのお祭りみたいで感動します。

分蜂するとせっかく増えたハチが遠くへ飛び去ってしまいますので、養蜂家は一般的に、新しい巣箱を用意し、近くで集まっている際に群れを捕まえて新しい巣箱に入れ、飼う群れを増やしていきます。

去年はそうやって箱を増やしたのですが、捕まえて入れた群れの方はハチの数が増えずに越冬できなくて全滅してしまいました。

自然に任せる

なので今年は、捕まえること無く、自然に任せ、(幸いにして外出自粛で時間があったので)彼らを観察しました。

分蜂した群れは、木陰に4日も留まり、移住先を探していました。(大抵3日以内と言われていて、4日は長い)

その日の昼過ぎ、群れは敷地外へ飛び去っていきました。
一斉に飛び立つ姿は空を覆う砂嵐のようで、圧倒されました。慌てて走って追いかけると、約150m離れた空き地に誰かが設置した捕獲用の巣箱(待ち箱)に入りました。捕獲用の巣箱の横にはニホンミツバチの好物のキンリョウヘン(ラン科)の植木が添えられており、おそらく養蜂家が設置したもの?だと思います。

キンリョウヘンに群がるハチ

飛び立つ前、庭の置いていた昨年全滅した空き巣箱に偵察蜂が出入りしていたのを見たので、もしかしたら入ってくれるのではと期待していましたが、残念ながら余所へ行ってしまいました。
寂しい気持ちもありましたが、自然に任せてミツバチの生態を観察する貴重な体験ができ、それ以上の感動を覚えました。

ニホンミツバチとの暮らし

今回のハチのお祭りを見守る他は、たまに巣箱を増設したり、ハチミツをいただいたりと、持ちつ持たれつという感じで、ニホンミツバチを飼うというか、敷地で共存する存在です。
ミツバチと一緒に暮らし、生態を知っていくことで、少しだけですが、地球上の生物がお互いに助け合い生きていて、人間もそれらに助けられ生きている自然の一部なんだなぁと、実感することができています。
そんな生活をする僕が多少影響を与えたのか、身近な友人達が数人養蜂をするようになりました。

ところで・・・

分蜂から二日後、なんと、庭のあの空き巣箱に、別の群れが入居していたのでした。

別の群れの偵察バチだったのね。

田中慎太郎