今回の記事では、出張の合間にドイツを自転車で走ったレポートをしながら自転車事情などを書いています。

【目次】
・都市部の走行
・サイクリングロードでの走行
・街から街へ
・おまけ

海外を走る経験は2度目ですが、自転車を使うと観光と比べ、その土地により溶け込み、その土地をより深く知ることができると思います。これは日本でも変わりません。このような自転車の側面はもっと強調されて良いと私は思います。

足跡。迷った足跡も記録されている

目的地は、出張拠点のフランクフルトから約50㎞と私にはちょうど良く、地図で確認するとマイン川沿いをひたすら走れば辿り着きそうなマインツとしました。
活版印刷技術を考案したグーテンベルクの生誕地で、中世ドイツにおけるカトリック教会の中心地となった地(*1)。
軍事や経済において重要だった宗教都市を訪れることは趣深いと思われました。しかもサイクリングロードもあるようです。道、交通ルール、ドイツ語がわからないことは不安要素ですが、OKいけるさ、と出発しました。

<都市部の走行>

川沿いのサイクリングロードまでは都市部を走行します。「人口当たり自転車保有数」がドイツは日本の1.23倍というデータがあります(*2)。
ジテツーする人は多く、様々な形の自転車が行き交っています。

人々の走行速度が速いのが特徴。時速30㎞超で走るおばさまも珍しくありません。
身体が大きく、道は平坦であることからスプリント能力が鍛えられるのでしょうか。恐怖を感じるほどの速度でした。

信号は目線右か左上にあります。「赤→黄色→青→黄色→赤→」と変わるようで黄色は、「走る準備をする」意味でもあるのですね。
イギリスを除くヨーロッパでは右側通行が基本ですが、日本では逆なので何度か間違えそうになりました。

歩道側の自転車レーン
車道側の自転車レーン

至る所に自転車レーンが存在しますが、なかなかトリッキー。画像のように、歩道側にレーンがあったかと思えば、突然車道側に移ることも。また、基本的に対面通行可ですから速度を落とす必要があります。

シェアサイクル1
シェアサイクル2

自転車専用の信号も多く見かけますし、シェア、レンタルサイクルが多かったり、自転車を電車にそのまま積載可能であったりするなど、都市部は自転車利用者にとって優しいといえると思います。

 

自転車をそのまま積載可能な電車
バイク持ちでもジャージでホームに侵入しても不審がられない!

<サイクリングロードでの走行>

川沿いのサイクリングロード

私が走る区間は、全長700㎞のロードの一部に過ぎません。このような自転車道がドイツ中に張り巡らされているそうです、すごいですね。

すぐに森が出現

そして、平日にも関わらず、家族や恋人同士でライドしている人も日本よりはるかに多く見かけます。「自然を楽しむためのツール」として自転車は確固たる地位を獲得しているように感じます。

ただ、いきなり砂利道となったり、真っ直ぐ走ったのに唐突に道がなくなったりして難儀します。私が案内を見落とした可能性もありますが。

到着!!

グーテンベルク像と愛車
マインツ大聖堂と愛車

迷ってウロウロし、再びサイクリングロードへ戻る、ということを何度も繰り返し、目的地に到着。
緊張と道迷いで時間と精神力を消費したため、すぐに帰途へ。
帰りはサイクリングロードではなく国道(あるいは州道?)を走り、数々の街を経由しながらフランクフルトに戻ります。

街から街へ

街といっても都市ではなく、中心部には必ずある教会、人が集まる広場と市場のこぢんまりとした1セットをここでは「街」と呼ぶことにします。
石畳の地面とカラフルな家の壁などの中世の街並がそのまま残り、点在しています。15分毎に時を知らせる鐘が聞こえます。

石畳

サドル(お尻)やハンドル(手)への振動を通して感じる石畳は、何百年も街や人々を見守ってきました。
私は休憩しながら、教会、祈り、を中心とした暮らしと歴史(中世は戦いも多かった)に思いを馳せました。

家の壁はカラフル
国道沿いはヨーロッパらしい景色

しばらく浸った後に出発し、広い空の下、国道を数㎞走ります。
すると、違う街すなわち異なった趣の教会、広場、石畳等が現れます。
多分観光、ツアーでは立ち止まらない場所ですが、大変興味深い。

隣町には隣町の教会

私のしたことは、日本にきた外国人が自転車でライドし、神社がある度に感動して立ち止まり、瓦屋根や田圃などに感嘆し、写真を撮っているようなものですね。

私はそういう変わった外国人だったわけです。そういう自分なりのツアーは、自転車であってこそです。自転車とジャージのおかげで人々にも何度も話しかけられ、街に受け入れられた気がしました。

いちいち止まっているうちに夕立に遭う

おまけ

「ドイツの街を走る」ことが書かれたブログは少なく、知識のないまま走りました。少しだけ書き記しておきます。

・パンク修理材は持ち込めない
これは空港でのことですが、溶剤は持ち込めず捨てることになってしまいました。チューブを持っていきましょう。
※自転車屋にはチューブの販売機も空気入れもありますが、自転車がどこにあるかを把握するのはとても難しいです。

自転車屋にチューブの販売機が。
自転車屋では無料で空気を入れることができます。

・トイレはないと思った方が良い
なかなかトイレがありません。あっても有料の場合が多いのでコインを持っていた方が良いでしょう。写真のトイレは施錠されており、電話番号が記載されていました。「使いたい場合、電話して」ということでしょう。

ありましたが使って良いものか、、、

・水の補給
多めに持っていくことが無難です。水道水が飲料可能である保証はなく、コンビニがない地域も多いです。

・持っていた方が良いもの
修理道具や替えのチューブは当然ですが、「Wi-Fiとスマホ」(これがないと迷子確定)。あと、「タイヤ」もスペアがあった方が良い。度重なる石畳と悪路で私はバーストしてしまいました。さらに、「サドルバッグ」はいつもより少し大きめがいいかもしれません。

・嵐は突然に
天気を確認していたにも関わらず、突然強い風と砂埃、そして強烈な雨と雷に襲われました。

・ドイツは日本以上に自転車盗難は多いです。

・危ないところには行かない
治安の話です。現地の人に絶対に行くなといわれた場所には行かない。当たり前のことですが。

次回はこのドイツで行われたSNI自転車部のミニイベントについてさらにお伝えする予定です(^^)

(岡田 慎太郎)

【参考】
*1『ドイツものしり紀行』(紅山雪夫著・新潮文庫・平成17)
*2 平成27年の国土交通省の報告10ページ