生長の家“森の中のオフィス”がある山梨県北杜市にも、ようやく春がやってきました。そんな春の陽気に誘われて、自転車に乗って自然観察に出かけました。目的地を定める訳でもなく、その時々の気持ちに任せて行こうと出発しました。

今年初めて訪れた場所。

ルールを1つだけ決めて走りました。それは、「心が動いたら、五官(目、耳、鼻、口、皮膚の5つの感覚器官 )でしっかり味わってみる」ということ。以前、ラッパ水仙が綺麗に咲いているのを見て嬉しくなり、撮影した写真を妻に見せたところ、「香りはどうだった?」と聞かれて初めて視覚だけで楽しんでいることに気づきました。まだまだ五官で自然を味わうことができると感じたので、それを実践しようと思ったわけです。今回はそのレポート記事です。

豊かな色彩や香り、優しい肌触りなどにたくさん心が動きました。その中でも特に、「花が咲く」ことに感動している自分を発見しました。綺麗な花を見つける度に立ち止まり、春らしい香りのする方へ行くと、やはり花が咲き誇っていて感動しました。そんなことを繰り返していると、「なぜ、花が咲くと綺麗と感じ、こんなにも嬉しい気持ちになるのだろう?」という疑問が湧いてきました。僕なりの答えをこの記事の最後で紹介したいと思います。まずは、「心が動いたこと」の一部を順番にご紹介します。

1.春と言えば桜!!

目線ほどの高さで咲く桜

 やはり桜がある場所では必ずと言って良いほど立ち止まりました。昨年も見に行った場所では、今年も同じように咲いている事に感動し、初めて訪れた場所で見る桜からは、新鮮さを感じました。それぞれのロケーションに溶け込んだ桜を堪能できました。また、幹の低い位置にも咲いていることを発見しました。ちょうど目線程の高さで、香りも楽しむことができました。そういえば、桜の香りを間近で味わうのは初めてだったかもしれません。スッキリとした香りでした。花弁の肌触りもツルツルと心地よかったです。僕が目にしたのは、「ソメイヨシノ」で、気象庁が桜の開花・満開を判断する「標本木」(一部を除く)であることから、現代の観賞用の代表種と言われています。

2.野花もかわいい!

 桜や花桃など、木に咲く花だけでなく、野花も綺麗に花開いていました。その中でも、特に心動かされたベスト3を紹介します。

①ムスカリ(別名:ブドウヒアシンス)

ムスカリ(別名:ブドウヒアシンス)

緑の中で引き立つ紫の花に魅力を感じました。ブドウのように丸い花が連なっている様子がかわいらしいです。香りは強くありません。しっかりと鼻を近づけてやっと感じる程度ですが、ほんのりと甘い香りを感じました。

チューリップなど他の花を引き立てる名脇役として人気で、園芸にも使われていることを知りました。

②スノーフレーク(別名:スズランスイセン)

スノーフレーク(別名:スズランスイセン)

一際目立つ白い小さな花の群生に引きつけられました。みんな一斉にお辞儀しているように見えます。「スノードロップ」という花と良く似ているそうです。

③ムラサキケマン

ムラサキケマン

ムスカリかな?と近づいてみると、違いました。形がどこかトランペットに似ています。四方八方に向かって何かを奏でているのかな?そんな印象を持ちました。

この綺麗なムラサキケマン、調べてみると、何と全草有毒であることが分かりました。食べられません。味覚で味わうのは危険です。自然界と良好な関係を築くためには、やはり正しい知識が必要だと感じました。

3.春の香り

ユキヤナギ

 道中、小さな時から春になると感じた香りがしました。その香りから、昔の記憶がよみがえりました。それは、僕がまだ小学校に上がる前の端午の節句の光景です。庭先に鯉のぼりをあげて、五月人形を飾り、陣羽織を着て記念撮影。なぜかその時の光景がよみがえりました。そして、健やかに育って欲しいと願ってくれていた両親の気持ちを思い、少し目頭が熱くなりました。

 その香りの主を探したところ、「ユキヤナギ」ではないかと思いました。直接香りを確かめて、僕にはそうだと感じたのです。自然界は、色々なことを結びつけてくれるなぁと感じました。

ハナモモ

僕なりの答え

 さて、「なぜ、花が咲くと綺麗と感じ、こんなにも嬉しい気持ちになるのだろう?」という疑問に対する、僕なりの答えを紹介します。それは、一言で表すと「生命を感じたから」です。

そもそも花が咲くってどういう現象なのだろうと疑問に思い、調べました。すると、植物は突然開花するのではなく、寒い冬の間にも少しずつ準備していること、そして、時期が来たら、次世代に生命のバトンを渡すために開花することが分かりました。

この事実から、あの時感じたことをもう一度振り返ってみると、僕は「生命を感じていた」のではないかと思ったのです。植物が僕ら人間と同じように生きていること、自然と一体であることを感じたからこそ、心が動かされたのではないか、そんな風に思いました。

 自転車は、車で移動するより断然自然界と近いので、「心が動くもの」を見つけやすく、見つけたらすぐに確かめに行くことができます。改めて、「自転車×自然観察」の相性の良さを実感した一時でした。これからも、季節に合わせて、その時々に見せてくれる自然界の微妙な変化を、自転車で探しに行きたいと思います。

中根敏也